タイミングモニターとは、XFELパルスとフェムト秒レーザーの相対到達時間をショットごとに計測する装置です。この到達時刻情報をもとにポンプ・プローブ測定結果を並び替えることで時間ジッターの影響を排除し、数十フェムト秒の時間分解能を有する測定が可能となります。
タイミングモニターの原理
特定の薄膜試料にXFELが照射されると、フェムト秒レーザーの試料中の透過、及び、反射強度が過渡的に変化します。タイミングモニターはこの現象を利用しています。SACLAに常設されているタイミングモニターでは、XFELとフェムト秒レーザーの薄膜試料への入射角度差を45°程度に大きくとり、到達時間情報を空間に焼き直す空間ディコーディング法を用いることで、XFELとフェムト秒レーザーの相対時間差を測定します。薄膜試料には、厚み5 μm程度のGaAs(ヒ化ガリウム)を用います。試料にXFELが到達すると、その照射領域が励起され、フェムト秒レーザーの透過率、及び、反射率が低下します。この時、フェムト秒レーザーのGaAs透過像、又は、反射像をCCDカメラ等の2次元検出器で取得すると、XFELのパルスフロントがエッヂとして検出されます。この像をショットごとに取得し、解析を行います。十分な励起強度を確保するために、XFELビームは楕円ミラーで試料上に1次元集光しています。

タイミングモニターの構成
BL3用タイミングモニター
BL3におけるフェムト秒同期レーザーを用いたポンプ・プローブ実験で使用可能なタイミングモニターはEH1に常設されています。BL3 OHに設置された透過型回折格子を用いてXFELパルスを0、±1次の3本に分離し、0次光をユーザー実験に提供しながら、-1次光をタイミングモニタ計測に使用します。なお、+1次光はシングルショットスペクトロメーター用に利用できます。フェムト秒レーザーの一部もEH1に導入され、タイミングモニターのプローブ用に使用されます。

BL1用タイミングモニター
BL1におけるフェムト秒同期レーザーを用いたポンプ・プローブ実験で使用可能なタイミングモニターはEH4aに常設されています。ビームラインに設置された波面分割用楕円柱ミラーを用いてFELパルスを2本に分離し、一方をユーザー実験に提供しながら、もう一方をタイミングモニタ計測に使用します。測定データの解析には、BL3用タイミングモニターと同じソフトウェアが使用できます。
参考文献:
T. Sato et al., Appl. Phys. Express 8, 012702 (2015).
T. Katayama et al., Struct. Dyn. 3, 034301 (2016).
K. Nakajima et al., J. Synchrotron Rad. 25, 592 (2018).